2004-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ガブリエル・カッソ監督「抑圧」

そんな映画、存在しません。「抑圧」、とは、気分転換に読み始めた、図書館予約でまわってきた伊坂幸太郎の「グラスホッパー」の中の劇中劇。というか、そういう映画があった、というちょっとしたエピソードの一つ。この小説。“蝉”なる登場人物のエピソード…

「父」と「父親」

もう、しばらくはこの話題から離れたいなあ、と思いつつ否も応もなく引きつけられるのは、いったい誰の応召なのか。 「父」に比すべき何ものをも持たない「子」は、はじめ、ただひたすら「父」のするようにし、「父」の見るように見ることを学ぶが、あるとこ…

内田樹「他者と死者 〜ラカンによるレヴィナス」③

■第三章 二重化された謎 内田の本文は本文としてまた別の感嘆を呼び起こすものなのだが、やはり私の現在のもやもやにいくらかでも収まりをつけてくれるのではないかと予感させる部分を恣意的に引いて考察の材料とさせていただく。 「魅惑する者」とは「教え…

擬宝珠纏萌え

今日、風呂屋にあったジャンプの「亀有公園前派出所」を興味深く読んだ。両さんが擬宝珠纏を「男はつらいよ」のロケ現場となった柴又に連れて行って案内する、というのが今回の内容。その前段階として両津は纏に「男はつらいよ」シリーズ全作品を48時間も連…

母としての家庭・父としての世間(社会)

母親(的存在)に抱えられた保護的環境に現れた、脅威としての父親(的存在)を模倣することで、子どもにとって「家庭」が保護的環境となる。全精力を傾けてその環境に順応してきた(作法を学んできた)子どもにとっては、その「家庭」内でたとえ虐待されて…

「師」が知っているもの

父親的存在が果たすことになる役割は、子どもと睦み合っていた母親(的存在)の興味(視線など)を引くことで、母親から世話される環境が世界のすべてであった子どもに、その世界にはなかった脅威(母親が見つめてくれない、など)を与え、そういった世界認…

「知っていると想定された主体」が知っているもの

19日付け当記述に、内田は「教育分析についてはよく知らない」と書いていてさすが、みたいなことを述べたが、その内田の言があった『大人は愉しい』の当該部分を全部読んでみたら ここでいう「師」は、レヴィナスが哲学の文脈で「他者Autrui」と呼んでいるも…

「師と弟子」、「父と子」

弟子というものは、師の持っている技術や知識を受け継ぐのではなく、師がその師に対していたような作法を学ぶ。しかし、ここで言う「学ぶ」とは、師が「これこれこうしなさい」といった「知識」の形で与えられたものではなく、弟子が師を見てそうしているか…

内田樹・鈴木晶「大人は愉しい 〜メル友おじさん交換日記」

夜中に今まで見たことのないタイプの怖い夢を見て、どきどきしながら起きたら、その夢と昨日書いたこととの関連性を考え始めてしまってどうにもこうにも眠れなくなったのでもうあきらめて思いついたことを書き付けておくことにする。今日はどうせ昼間時間も…

昨日、もすこし書きたいと思っていたことなど。

昨日のような記述では、あたかも私が、「師」無しに独自に「学ぶ仕方」を得たかのように読めるが、もちろんそのような事実はなく、実際は、「師」の「弟子」になったという経験がなければ、封書で行われたはじめての議論のときの結果も違ったものになったは…

第二章 テクスト・師・他者

第一章では、語られる内容が問題となるのではない、ただ単に話を交わすことにのみ意味があるようなコミュニケーションを扱った。 第二章は、ユダヤ教の経典タルムードの解釈をめぐる「師」と「弟子」の関係をモデルとして、交話的対話、鏡像的対話ではない一…

第一章 知から欲望へ

P35 メッセージの中には、伝達を開始したり、延長したり、打ち切ったり、あるいはまた回路が働いているかどうか確認したり(「もしもし、聞こえますか」)、話し相手の注意を惹いたり、相手の注意の持続を確認したり(「ねえ、聞いているんですか」とか、シ…

 第四巻 立憲王政のこころみ

王党派と共和派の、ジャコバン派とジロンド派の、僧侶と農民の、議会と宮廷と人民と亡命貴族と国外勢力、ありとあらゆる党派の腹の探り合い、無為な議論と不決断、緊張の高まり、革命の王政との闘いへの前段階。この第四巻の中に、革命のなかで重要な役割を…

豊島区中央図書館リサイクル市

整理休館明け恒例リサイクル市へ市民の義務として資源ごみの無料ひきとりに行ってさしあげる。午前9時整理券配布、10時開館の予定が、今年はレコードやカセットも放出ということでか思いのほか人が集まりすぎたらしく開館を30分繰り上げた。わたしは8時ち…

竹内敏晴「癒える力」(晶文社)

看護婦(現看護師)を対象とした、雑誌「看護実践の科学」1997年1月号から12月号、および1998年9月号に連載した文章をまとめた本。P12 わたしは四十台の半ばになってやっと、まあ人並みに声が出、話せるようになった。その時からわたしは、声が相手にふれ…

TBSスーパーフライデー「久本&今田のお笑いネタの大辞典」

「オンエアバトル」をはじまりに「エンタの神様」、「笑いの金メダル」と、お笑いネタ番組を震源として、以前からちょいちょいやっていた「たけしの誰でもピカソ」でもお笑いネタの頻度が増すなど、ブームも一通り過ぎたところで、概ねそのへんの芸人の格付…

エルモア・レナード「五万二千ドルの罠」

十年前、京王線千川の駅に近い甲州街道沿いのセブン・イレブンで文春文庫のレナード「ミスター・マジェスティック」を買ったままほっといたのを今年んなってからなんとなく思いついて読んだ。なんで、またそんなのを買う気になったのかいまひとつ覚えがない…

 第三巻 一進一退

ジャコバン派の台頭、ミラボーの死、ルイ16世の逃亡・逮捕の模様を事細かに。P154(中央公論社「世界の名著」シリーズ37) 選良は才能を前提とし、人民は素朴で根づよい本能の力をもつ。中間精神にはそのどちらもが欠けている。この精神は、人が高くもなく低…

ジョセフィン・テイ「時の娘」②

高校の頃、歴史の教師がひどく熱く語っているのを聞いて読んでみた高木彬光の「成吉思汗の秘密」には、一時相当いかれていて、ちょうどその頃だったか、前だったか後だったかNHKで放送していた「武蔵坊弁慶」で静御前を演っていた麻生裕未のことを好きになっ…

「語り・物語・精神療法」北山修・黒木俊秀編著

北山修が中心となって立ち上げた日本語臨床研究会の第九回大会の発表の一部と症例検討会の模様を収めた本書。なんといっても白眉は神田橋條治参加のもとに行われた症例検討会ライブ。サイコセラピストを目指す人(私は違いますが)なら必携らしい「精神科診…

ジョセフィン・テイ「時の娘」①

このところちょいと固めの活字ばかり目にしてきたので気楽なものを、とひらめいて手にしたこの本。頭の片隅に、これってアームチェア・ディテクティブならぬベットルーム・ディテクティブで、しかも歴史的事件を扱っている、みたいなことがあったのは確かな…

第二巻 新生フランス

フランス革命に登場する人物って王室を除くと、ロベスピエールとかミラボーくらいしか思い浮かず、それだってこの本読んでいてはじめて、ミラボーなあ、ミラボーミラボー・・・・言われてみればそういう名前を聞いたことあるなあ、くらいで、あ、あとラファ…

エスあるところに・・・

昨日の後半部分に<“それ”に拘り続けていく気力>などと、それ、に “” をつけましたが、そこらへんは別にこれといった他意はなく、単に、人それぞれの気になるポイント、程度の意味で書いたつもりでした。でも、よく考えてみると、というか、思い付きですが…

永井均「私・今・そして神 〜開闢の哲学」

「本」という雑誌に連載されていた「ひねもすたれながす哲学」を大幅加筆訂正してまとめた講談社現代新書の一冊。タイトルはもとのほうがいいと思う。著者と編集とどっちの意向だろ。講談社現代新書シリーズ全体の新カバーも激しく萎える。どっからどうみて…

第一巻 革命のはじまり

「シービスケット」にはここ最近あまり読んでなかった歴史読み物への興味も呼び覚まされて、いきなりだがミシュレなんぞを読むことにした。まだほんのさわり程度しか読んでないけど、現代風な目から見るとどうしても、面白いんだけどおしいなあ、という感想…

神田神保町古本祭にて

獲得した獲物●木田元・竹内敏晴『待つしかない、か 〜 二十一世紀 身体と哲学』春風社 ハイデガー、メルロ=ポンティの翻訳でおなじみの哲学者木田元と、耳の病からことばを失い(かけ)、そこからの回復と演出家としての経験から、ことばのみに囚われない身…

昨日

神田神保町古本祭オフに参加。昼より夕方まで物色。軽く居酒屋で飲んで北の丸公園へ。ちょっと眺める程度のつもりが薄暗い中、妙に落ち着きアルコールを買出しはしゃぐ。途中から記憶がなく、よく荷物を置いてこなくて済んだもんだと思う。タクシーに乗り近…