第二巻 新生フランス

フランス革命に登場する人物って王室を除くと、ロベスピエールとかミラボーくらいしか思い浮かず、それだってこの本読んでいてはじめて、ミラボーなあ、ミラボーミラボー・・・・言われてみればそういう名前を聞いたことあるなあ、くらいで、あ、あとラファイエットとかも聞いたことあるか、それくらいで、名前が出てきてもほとんどピンとこない。そのへん、ただ単にに歴史的知識に疎すぎるわたしがあからさまになっているだけかとも思ったのだけど、どうもこの第二巻あたりまで読んできて、このフランス革命ってのは、もっとわかりにくい、そういう英雄が活躍するようなタイプの事件ではない、まさに、地すべり、という自然現象的な比喩で言うのがぴったりの事件だったんだなあ、と感じられてきた。

ただ、ミシュレの書き方がたとえば

王が公共の安寧の唯一の保証人として名乗りでているあいだに、議会が公共の安寧を回復する手段をもとめて見出せないでいるあいだに、フランスが自分でこれを成しとげた

といった具合に、フランスが、フランスの人民こそが○○を成し遂げた、フランス万歳!人民万歳!!、で終始しているのでいくぶん割り引く必要もあるのかもしれませんが、それでもそもそものバスチーユ攻略だって誰かが計画をたて声をあげ、といった調子ではなく、偏在していた不満や怒りがとっかかりを見つけて爆発したところがあるし、この第二巻でバスチーユと並んだ事件として紹介されているヴェルサイユ行進も、女たちが「パンくれ〜、パンだせ〜」と言い出してはじまった風でもあり、誰が見ても国のシステムがダメ化してるのが見え行動を起こしたということでしょう。それでも、飢饉や災害なんかによる人々の困窮というのはいつの時代でもあったろうし、それがここまで歴史に残る形とまでなったのには、やっぱり“とっかかり”があって、それは王侯貴族や坊さん連中ではない金持ちや弁護士といった連中の間に聖書ではない思想の言葉が乗っかったから、とまあこんな感じなんだろうか。ルソーとかモンテスキューとかヴォルテールとか。でもルソーにしろなんにしろ、そういう思想はまた社会状況(と個人的生活史、とか)から生まれでてくるわけで、結局そこらへんの時代にどういう暮らしが営まれどういう言論がなされどういう事件が起こっていたのか、という全体状況を見ないとすまないような気になってきて、たぶん歴史の面白さというのはそういうところにあるんだろうなあ。

歴史にはそれほどの興味を持っていないはずなのに、今まで買った本の中で一番高い本は講談社の「クロニック・世界全史」という辞典だったりする。出てすぐ14800円の一割引きで買った。革命前後んところを読むのがすげー面白ぇー。