2005-01-01から1年間の記事一覧

『不確かさの中を』②(昨日の続き)

この本の最後の部分には同じく精神科医の中井久夫先生について話題が及んでいて、中井ファンの私としてはその部分だけは書店に並んだときに立ち読みし、その異能ぶりにあきれかったのでした。そこ、ほぼ全文になっちまいますが、まあ、そのエピソードの数々…

『不確かさの中を 〜私の心理療法を求めて』神田橋條治・滝口俊子

精神科医神田橋條治と臨床心理士滝口俊子による対談本。神田橋先生については以前 http://d.hatena.ne.jp/fkj/20041108書いたように、偉人という意味のえらいではない、えらい人、と思っていたけど、それどころじゃないですよ。まーあ、たいへんな人だ。 あ…

パトリシア・ハイスミス『目には見えない何か』

未発表短編を含む初期作品集『回転する世界の静止点』を、今年はじめ本屋で目にしたときは、え!?、といういきなり感ばかりに包まれてしまったハイスミス作品。別名義の普通小説を別にすれば、2003年、河出文庫から出た『死者と踊るリプリー』が打ち止めだと…

続『私・今・そして神』

5月9日の日記でわたしは、永井の話を<現に「仮」の話>と書いた。永井の言う「現に」で何を言っているのかわからない、とも。永井の話は誰がどうみたって、現実に「仮」の話だろう。・・・ わたしは上記のようにしてしか、誰かわたし以外の人に意味不明と…

WANTED!

ootany氏出演のWANTED!、深夜三時からということでずっと起きて聞こうとしてのが、どうも途中で挫折するという不義理を繰り返してたところ、今回目覚ましかけて起きることで聞くことができました。 すごい(笑)。なにがすごいって、しゃべりの適当なところ…

ゴッホ展

本日は朝から大宮で仕事。昼前に終わってまっすぐ帰るつもりだったのだけど、ここ三週間ほど神保町に行ってないための禁断症状が突然現れ、埼京線に乗るはずが京浜東北線に乗る羽目に陥る。 御茶ノ水でJRを降り、明大の前の坂を下って三省堂。そこの三階のト…

第二章 ライプニッツ原理とカント原理

ゴールデン・ウィークはこの本と安永浩『精神の幾何学』にほぼかかりきりでした。まあ小説何本か読んだり『天然コケッコー』読み返したりもしてたんですが。で、この後の私に相当な影響を残しそうなのは『精神の幾何学』で、すぐにでも二読、三読したり、関…

誰もが知ってる誰も知らない

たぶん、精一杯にハートウォームな方向に振ってくれたおかげでまだしも観られるものになってるような気が。それでも暗澹な気分に塗り込める威力ありすぎ。実際の事件について考えるとさらに倍。 柳楽優弥と青木家七人兄弟の長女あざみちゃんがちょっとかぶる…

つかぬこと

をお聞きしたいんですが、こちらをごらんのみなさまは、さとうれお氏ってご存知でした?私は二年ほど前にはじめて知って、敗北感に近い驚愕を受けてしまって、このほどメルアドもブックマークもウィルスバスターという名のウィルスに全部ふっとばされてしま…

ダン・シモンズ『カーリーの歌』ハヤカワ文庫NV

短編集『夜更けのエントロピー』があまりにすばらしかったのでシモンズ処女長編にして世界幻想文学大賞をとったというこれ読んでみました。シモンズに対する認識を新たにした、というような面はなかったけれど、舞台となったカルカッタのルポ的な描写や密や…

ウィルスバスター

つい、二、三にち前に、買ったパソコンについてた使用期限つきのNortonを、12月まで使用料払い込んであるウィルスバスターと入れ替えたら、昨日の夜中、突然なんのソフトも立ち上がらなくなって、ふざけんな!、と怒りつつシステム復旧作業してもう二度とウ…

珈琲時光とタモリ倶楽部の都電

ホウ・シャオシェンの『珈琲時光』ビデオで観た。二時間弱で終わっちゃうんじゃなくって八時間くらい続いてほしい気分。雑司が谷から大塚にかけて池袋近辺の都電、高円寺ガード下の都丸書店、神田から御茶ノ水のあたり地下鉄丸の内線が地上に這い出て中央線…

東京スピード、山田優、バナナマン日村

東京メトロの今のイメージキャラクターだったのか山田優が走りながら靴を脱ぎつつジャケットも背後に捨てながらジャンプするっていう五コマの連続写真のポスター。五コマ目、最後のところで腕を背後に伸ばし胸を張りながら飛び上がったところが、今年正月の…

J.G.バラード『クラッシュ』ペヨトル工房

たしか一年ほど前だったと思うのだが、吉祥寺か西荻窪かそのあたり、中央線沿線の古本屋でこの『クラッシュ』が4000円くらいで売られてて、えー!?、と思ってまもなく、新宿のアルタの方にある紀伊国屋で、どこからどう入荷されたのか、もともと在庫であっ…

ジョン・カーペンター三昧

ソダーバークのソラリスを借りようと思ってレンタル屋いったらとなりにジョン・カーペンターの「ゼイリブ」があって、カーペンターって「シリアル・ママ」しか観たことなかったなあ、などとジョン・ウォーターズと勘違いしてたけどそのときは気付かず、じゃ…

岡野憲一郎『心のマルチネットワーク』講談社現代新書

著者はアメリカで精神分析の訓練も受けた精神科医。10年近く前に『外傷性精神障害』という本を出し、日本においてはかなりはやくから心的外傷(いわゆるトラウマ)や、解離性同一性障害(いわゆる多重人格)についての考察を発表している人。以前、「恥」の…

オラフ・ステープルトン『シリウス』ハヤカワ文庫SF

文庫で300ページほどだったけど少々読むのに骨が折れた。 天才生理学者トレローンが様々な試行錯誤の上に作り上げた人間に匹敵する知能を持つ“超犬”シリウスの物語。人間並みの知能を持つ犬としての困難やそれに敢然と立ち向かうシリウスの不屈の闘志、犬と…

ダン・シモンズ『夜更けのエントロピー』

すばらしかった。 河出の奇想コレクションのシリーズはこれ以外テリー・ビッスン『ふたりジャネット』、シオドア・スタージョン『不思議のひと触れ』、エドモンド・ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』、アルフレッド・ベスター『願い星、叶い星』とあって、…

アントニイ・バークリー『シシリーは消えた』

本格苦手、と言いつつ、黄金時代の中心でもあるバークリーだけはちょっと読んでみたい、と常々思っていたところ、図書館に新着で入ってたこれ、たまたま見つけ借りてみました。この作品、なにやら作者の死後にその存在が発掘された幻の一品だということで、…

東池袋・Media Massageよろしく

うちの隣には、地番がなぜかまったく同じになってる建物があって、10年以上前に部屋を探しにやってきたとき、指示された地番に、その、6畳を対角線で二つに割ったような三角形の三階建ての建物を見つけて、おお!、こんなへんてこな部屋だったら住んでみた…

スタニスワフ・レム『ソラリス』国書刊行会

橋本治の著書に『「わからない」という方法』というのがあったと思うが、以前、「わからないもの」を「わからない」まま実体化したお話ってできないものか、などと考えたことがあって、もともとは、フーコーの『言葉と物』の冒頭の次のような部分 この書物の…

植島啓司『宗教学講義』

教授とゼミ生らしき女生徒による一対一の授業という対話形式をとっている本書。そういう形にしている意味が今ひとつよくわからない。内容の薄さを水増しするため、というのと、一応新書(ちくま新書)ということで一般読書人にわかりやすくするため、という…

植島啓司『聖地の想像力--なぜ人は聖地をめざすのか』②

P121 パエロ・コエーリョ『星の巡礼』からの孫引き 旅に出る時は、われわれは実質的に、再生するという行為を体験している。今まで体験したことのない状況に直面し、一日一日が普段よりもゆっくりと過ぎてゆく。つまり、子宮から生まれてきたばかりの赤子の…

植島啓司『聖地の想像力--なぜ人は聖地をめざすのか』①

2000年にこの本が出た時、新宿の住友ビルに入ってる本屋で平積みになってるのを見かけ一瞬買おうかと思ったけど、もう少し中身を詳しく見て検討しようと結構細かく眺めて、結局その時はいま一つピンとこなくて模様眺めということにしたのが、このところの興…

不覚

夜中にWOWOWで「バウンス ko GALS」をやっていたので数年ぶりに見る。 泣く。 いや〜、私のいくつかある涙のツボぐいぐい押してくるもんだからなあ。どこが、というのはいろんな意味で弱点でもあるので言えません。それにしても 青春っていいなあ〜(みつを…

イアン・ワトスン(訳山形浩生)『エンベディング』

のあとがき部分のみについて。 先週、この国書刊行会の同じシリーズの『ケルベロス第五の書』をちょっとしか読まずに図書館に返してしまっていて、この『エンベディング』も新着図書として発見しすかさず借りてはみたものの結局読まず終いで返すことになりそ…

日給8000円

ちょい飲みの肴を買いにスーパーへ行くと日給8000円の「未来がなくても抱きしめて」がかかってた。色物&企画物ということでたいして売れなかったんでしょうが、これ最初に聞いたときに、あれ?良くない?、と思い、昨暮、徒歩って一分のサンシャインシティ…

新年早々景気よく

数年前からとみに感じるようになってきてはいたのだが、まあ、親の老けること著しいったらない。それと対照的に甥っ子はむくむくとでかく育ち、人類の入れ替えは確実に進行中。 紳助自粛のあとの初回『松紳』だったか、キム兄と千原ジェイアールを相手に松本…