日給8000円

ちょい飲みの肴を買いにスーパーへ行くと日給8000円の「未来がなくても抱きしめて」がかかってた。色物&企画物ということでたいして売れなかったんでしょうが、これ最初に聞いたときに、あれ?良くない?、と思い、昨暮、徒歩って一分のサンシャインシティ噴水広場のデヴュー記念イベントまで見にいってたりしたのでした。まあ森三中の村上を見たくて足を運んだのですが。
(一部に嘘有)

年末年始の人あたりか、newなyearのはじまりが今年もそれなりにやらねばという面倒くささ倍増させたんだか、例年なら桜の頃に現れるダウナーエナジーに引きずられ篭り傾向に入っております。そんななか貴志祐介の『天使の囀り』と篠田節子の『神鳥--イビス』とキングの『クージョ』(これはまだ途中)を読む。みんなどっかのドッカオフで100円で買ったような記憶。『クージョ』は西武池袋線沿線のどこかで50円で買ったような。

貴志は『黒い家』がさんざん盛り上げといて最終的に出現してきた相手はあまりにもしょぼく、対する主人公側は、決断力も知力も胆力も中途半端、というか、ヘコ過ぎ、で、そんなんなら殺されてしまえ!、という苛立ちを感じつつ読み終えるというがっかりなものだったので、今回もさほど期待せずに、ただ、中心の人物が精神科医だというのでそこらへんどう書いているかだけ気にしていると、精神科医としてはちょっとどうだろうというところが散見されたが、全体的にはなかなか面白く読めた。取材好きという貴志らしくそこここにたいへんな「お勉強」の痕が見え、それがアイデアの核の部分をなしているというのはわかるのだけど、もうちょっと、スマートに処理できないもんだろうかとは思う。確か『黒い家』も『ISOLA』もだったと思うのだけどここでもユング派の理論をもっともらしい説明のために使っていて、なんでこの人、これほどまでにユングにこだわるのかちょっと疑問。貴志作品とは相性悪いような気がするんだがなあ。フォン・フランツの「おとぎ話における悪」あたり、明らかに使い回ししてるっぽい。

篠田の『神鳥--イビス』も、だいぶ前に読んだ『聖域』が、これはちょっといいんじゃない、と思いつつ読み進めていったらびっくりするほどさえないオチがついてがっかりした覚えがあって、間つぶし気味で読んでいたら、これは、「ホラー」としては、それなりに怖い、ところをすくっているように思えた。それは、メインとなる恐怖の対象との対決の部分ではなく、その後、の部分が、ああ、これはかなり嫌だなあ、こんな風になるのはたまらんだろうなあ、という意味で。ちょっと思わぬ拾い物、といった感。

ほいでキング。キングってモダンホラーの旗手みたいな言われ方されているのかいないのか知らないが、ホラー作家というより、日常の中でのちょっとした行き違いを書かせたら日本一、といったほうが正確じゃないかい。まあ、メインプロットにもひねりが効いているのでしょうが、それ以上にとるにたらない日常を書くのがこの上なく好きみたいで、だからあんな、『IT』だったか、みたいに、ながーくなっちゃうんじゃないんかい