ゴッホ展

本日は朝から大宮で仕事。昼前に終わってまっすぐ帰るつもりだったのだけど、ここ三週間ほど神保町に行ってないための禁断症状が突然現れ、埼京線に乗るはずが京浜東北線に乗る羽目に陥る。

御茶ノ水でJRを降り、明大の前の坂を下って三省堂。そこの三階のトイレを借り、四階の人文のコーナーでは新刊チェックをしたあと、自分の中で一番一般的なコース、村山書店--悠久堂書店--小宮山書店--田村書店の均一--巌松堂--明倫館とたどろうとするも、巌松堂を抜かしてしまう。

小宮山書店で曰くつきの本を手に入れ3000円ほど散在。ハンナ・スィーガルの『クライン派の臨床』。これ、おそらく相当刷った数少ないはずで、まず手に入らないと思っていたところ、昨年12月、定価4800円のところを4200か4300円くらいで売ってて、でもその時はもう図書館で借りて読んでいたので、気になることが出てきたら、また借りればいいか、と見送ったのだけど、家に帰ってよーっく考えてみると、おそらくこの先復刊されることはない本だろうし、内容にも非常に驚かされたし、それが新刊並みの値とはいえ4000ちょぴちょぴで手に入るなら、と二日後に再びそれ目指して明倫館に行ってみたところ、ウォー!、レジでその本持ってる奴がいる!!。しばし硬直。そんなことがあった本を今回買えたわけなんですがそれはともかくゴッホ展。

普段は神保町の交差点を九段へとまっすぐ進むところ、そういえば竹橋の近代美術館でゴッホ展やってるなあ、もたもたしてると去年のマティス展みたいに行きそびれる、と思いつき左折。一ツ橋を渡ってしょちゅう走りにきてた皇居を左手にみながら歩を進めると、なにやら徐々に人の流れが大きくなってきた。あれー?、これはひょっとして・・・と思っていると側面にゴッホ展の宣伝を描いたバスがおばさんをぎゅう詰めにして近代美術館に入っていった。近づくにつれわやわやと高まる騒音。拡声器でアナウンスしてる案内。・・・さすがゴッホ。行列。雪舟展の悪夢(ってほどでもなかったんですが)を思い出し、ゴッホ展はパスして散歩することにした。

ということでゴッホ展には行ってません。

竹橋から内堀通りを九段へと向かうコースは、池袋--皇居--池袋、なランニングコースで8億回ほど走ったところだったのだけど、九段会館千代田区役所がある清水門は通ったことがなかったのでそこを曲がる。そういえば清水門の対面にあったたぶん元の官舎かなにかだと思うんだけど幽霊屋敷然とした廃墟が取り壊されてて清水建設の現場になってた。清水門前だからだろうか。たぶん違う。

塀の壁を塗り替えるための足場をくぐって昔ながらの石の階段を、こんなところがあったのか、とちょっと感動しつつ上がっていくと科学技術館。それを左に見つつさらに上ると北の丸公園。おお!、昨11月の古本オフ。

神保町の居酒屋でかるく飲んだ後、人気のない薄明かりの北の丸公園でもぷらつこうとしたところ、あまりの雰囲気の良さに近くもないコンビニまで酒を買出し(しかも二度)にいってまで酒盛りした伝説(嘘)の古本オフ。

その時は見ることのなかった吉田茂銅像を見つけ、デブ、と思う。ほんとは恰幅が良い、と言うべきで各人気をつけるように。「グリーン・アドベンチャー」なる札が掛かった木のところを右に曲がって歩道を歩いていると、手になにやら白い紙を持ったギャルが二、三十人ほどばらけつつ歩いてて、やはり「グリーン・アドベンチャー」なる札のかかった別の木を仰ぎ見たりしている。後ろからそーっと除いてみたら、その紙にも「グリーン・アドベンチャー」。してみると、番号のついたその札の木、一本一本の名前でも書いてある紙なんだろう。常々、木の名前とか覚えたいと思っている私はちょっとその紙が欲しかったが奪い取るわけにもいかないので、例の古本オフの時騒いだ広場を探す。それにしても、彼女らはなんなんだろう。旅行という感じでもないし、なんかの研究会?

などと考えてるうちに武道館が見えてきた。あれ?あの広場が出てこなかったぞ、と戻って探しにかかるが、やっぱり木が生えてるとこばっかで、四阿からなだらかに下って池の脇にあった芝生の開けた場所が出てこない。と、武道館を見て左方に別の道があったので件のギャルや子供たちや恋人たちを追い抜いて突き抜けた先、やあ!、ここだここだぁ。間歇的に記憶が飛んで翌日終日廃人になったあの飲み会はここで行われたのだ、などと考えつつ、曇り空にしろ昼間の明るさの中で人が結構いるけどこれはこれで気持ちいいなあ、とちょっとだけぼんやりして今に至る。