尾崎豊「I love you」

池袋駅にくっつく某デパートの営業開始時間前、店員たちが始業準備している店内ではBGMとしてヒット曲などがかけられていた。私が店内を歩いていると尾崎豊の「I love you」がかかりはじめた。

それほど好きな歌というわけではなかったが、なんとなく一緒に口ずさんでいると、始業準備にいそがしい店員の何人かも口ずさんでいるのに気付いた。

ふとあたりを見回すと、どうやらほとんどの店員が歌い始めていて、なにやら、合唱しているような様子に。

曲が終わると、店内全体にぼんやりとした一体感と感動が漂っていた。

一曲、他の歌が放送された後、選曲をまかされている放送担当か誰かが、再び尾崎の「I love you」をかけた。

先ほどの余韻さめやらぬ店内では、今度は、はじめから全員で大合唱の様相を呈してくる。

私はその某デパートを出て、池袋駅構内へと歩みを進めたのだが、どういうわけか、駅の中にも尾崎の歌がかかっていて、利用客のほとんどが、やはり、一緒に歌っている。

気付いてみると、それまで、その大合唱をリードしていた尾崎の歌は、放送担当者のアカペラとなっていて、実に実に感情を込めて歌い上げている。

最後の「悲しい歌に愛がしらけてしまわぬように」のところにくると、段々とスピードを緩め、実に実に情感たっぷりに合唱が終わり、一瞬の間があった後、池袋の駅周辺にいて一緒に歌っていたすべての人々から大きな歓声と拍手がおこる。

その盛り上がりが、引き潮のごとく徐々におさまっていくのに合わせ、人々は、三々五々、自分の用事や目的に向かって戻っていくのであった。

戦争を、空を飛びながら俯瞰で眺める夢を見たことはあったけど、こういう奇怪な集団的な夢を見たのは、記憶にない。俺、だいたい、尾崎の「I love you」、全部、歌詞知ってるわけじゃないし。今のところ、ほとんど、意味不明。連想としては、蝶々のはばたきが台風を産む、ってストレンジアトラクタを思い浮かべた。複雑系な夢?


「I love you」

I love you 今だけは悲しい歌 聞きたくないよ
I love you 逃れ逃れ 辿り着いた この部屋
何もかも許された 恋じゃないから
二人はまるで 捨て猫みたい
この部屋は落ち葉に埋もれた空き箱みたい
だからおまえは子猫のような泣き声で
きしむベッドの上で優しさ持ちより
きつく躰 抱きしめ合えば
それからまた二人は目を閉じるよ
悲しい歌に愛がしらけてしまわぬ様に

I love you 若すぎる二人の愛には触れられぬ秘密がある
I love you 今の暮らしの中では辿り着けない
ひとつに重なり生きてゆく恋を
夢見て傷つくだけの二人だよ
何度も愛してるって聞くおまえは
この愛なしでは生きてさえゆけないと
きしむベッドの上で優しさ持ちより
きつく躰 抱きしめ合えば
それからまた二人は目を閉じるよ
悲しい歌に愛がしらけてしまわぬ様に

あ、なんかグッときたw
まじでまじで